熱海の夜景

小春日和

ドーム

夏休みに小学生の息子を連れて
原爆ドームを見にいった。
剥き出しになった鉄骨の屋根
いつ見ても言葉を失ってしまう。

墨のにじみを背景に
濃墨を使って勢いよく筆を運び,
ドームの屋根を表してみた。

隙間に見える白い空はヒロシマの希望の空である。

第15回国民文化祭ひろしま2000「書と筆の祭典(水墨画) 文部大臣奨励賞

末っ子の三男は六歳。
毎日のようにソファーで眠りに入る。
私が洗う食器の音、流しの水の音が
子守歌だ。
まだ母と離れて寝ることができないのだ。

昼間はくたくたになるまで私を振り回してくれる息子。
そんな息子の寝顔は
可愛らしくて愛おしい。
小さいながらも
何かを感じ、何かを考えているのだろう。
すやすやと夢見ている寝顔に
生命の尊さ、力を感じます。

川尻町「筆と芸術の祭典」全国水墨画公募展2001 会長賞

生 I

春に烏骨鶏の雛がきた。
母親の雌鶏から離されたひなは、
小さくてひ弱で
鳴き声も、か細かったのを覚えている。

冬になり、
しばらく見ていなかったひなたちは
たくましく成長していた。
その姿は若々しく生命力にあふれていた。

忙しい日々を送っていると
忘れてしまいそうになる
自分以外の小さな「生」

ふっと、小さな
そして力強い「生」に出会った時、
あらためてその生命力に

こころ打たれる。

川尻町「筆と芸術の祭典」全国水墨画公募展2004 金賞

生 II

庭に生えているキウイの木
切っても切っても
光に向かってつるをのばす。
つかめるものに巻き付きながら
上へ上へと伸びていく。

空でいろんな弧を描きながら
上へ上へと伸びていく。

川尻町「筆と芸術の祭典」全国水墨画公募展2007 審査員特別賞

少年

「母さん」
ポケットに手をつっこみ,
恰好つけている。

肩はまだ細く
あどけない。

いろいろなことを感じ
考えているのだろう。

まっすぐに
頑張れ。

ゆり

美しく開いた百合の花びら
その花びらの奥から
長く伸びるおしべとめしべ
食べられてしまいそうに
迫ってくる。

その美しさや力強さに生を感じる。

第75回自由美術協会公募 入選

緑の波

庭にさいている山百合の葉
薄黄緑の
細くて華奢な線
何本も美しく
山を描き閉じていく

山茶花素描〜2022〜

小春日和の庭で、鮮やかに咲く山茶花に惹かれて。
今回は、線の勢いとにじみの面白さを楽しみたくて、モチーフを見ながら枝で作ったペンで一気に描いてみました。
ちょっと細部もご案内。〜こちらからどうぞ。

”夢”と同時期に制作。
遊び疲れてソファーで眠ってしまう子がいとおしく。。
このころは、薄墨をローラーで紙におくという背景作りをいろいろ模索していた。

広島の夏。暑い日差しの中で空をみあげる”ひまわり”。

剣士

水墨での”剣士”
次の試合を待つときの緊張感を伝えたかった。

ツル(習作)

力強く勢力を拡げていくツル系植物には、強い生命力を感じてつい見入ってしまう。
太陽の光を精いっぱい受けようと広がっていく様を表現したくて、箔を使ってみました。
また、この頃は、背景にローラーを使った動きを出す方法をいろいろ試してみました。

生(習作)

ツル系植物の勢いを描きたくて、庭のキウイを描きました。
この作品も、ローラーでの背景作りを活用しています。

生・息吹(習作)

30年を過ごした東広島は緑豊かな街で、住宅街からでると緑豊かな田園や里山が広がっていました。
少し標高が高いおかげで、冬には雪も降り気温も氷点下になるので、春が待ち遠しく感じられました。
春のお彼岸も過ぎる頃には、山々の木々は、冬眠からさめて一勢に太陽の光を求めて、
新芽を広げていく。そんな息吹のありさまを映し取ってみました。
墨の表現だけではなく、彩色や白での変化を楽しみました。
このシリーズは、大判の”息吹き”や、デザインの”HIROSHIMA LIVES”の制作につながっていきました。

夏の日差し(習作)

広島の家には、自作のキウイ棚があり、伸び放題のキウイが枝を拡げていました。
広島に居を置いた時は日差しの強さに驚いたが、いつしか乾いた気候の陽光にも慣れ親しんでいました。
そうはいっても、真夏に照りつける日差しは強く、盛夏のキウイを描こうとしていたのが
その背景の日差しに心を掴まれてしまいました。